• 中折れの原因

    「なぜペニスはそんな形をしているのか」にあった「マスターベーションと想像力」の章を紹介させていただきます。

     

     

    進化生物学者のロビン・ベイカーとマーク・ベリスの研究(インターネット普及以前の時代)によると、男子学生はセックスの有無に関わらず平均3日に1度はマスターバベーションを行っている。

    その多くの場合はセックスしたにも関わらず2日以内にマスターベーションを行っている。

    精子は製造後5-7日の寿命であり、新しい精子は古いそれに比べて受精競争に強い。

    それゆえ古い精子を放出することで新しい精子を製造するためのスペースを確保するという進化の現れではないかと,ロビンたちは仮説をたてた。

     

    ヒト以外の霊長類においてはマスターベーションはほとんどみられない。

    交尾をしたいのに劣位ゆえできない雄においてさえマスターベーションはみられない。

     

    サルは死ぬまでオナニーするなんて言われますが、そもそもサルはオナニーしないんですね。

     

    なぜサルや類似年類人猿はヒトのようにマスターベーションができないのか。

    これはヒトにおいて特に進化した「想像能力」の点から説明できる。

    ヒトはオルガスムスを引き起こすエロティックな情景を思い浮かべる能力をもっている。

     

    1960年、イギリスの精神科医師ナルシス・ルキアノヴィッチはマスターベーションをする際の空想について精神科の患者に聞き取り調査を行った。

    その結果を踏まえ、「性的な空想は、仮想上の相手を伴う」と論じている。

    心理学者のハロルド・ライテンバーグとクリス・ヘニングは、いくつもの研究を体感した結果、マスターベーションの際に夢想すると報告する割合は女性よりも男性の方が多いと結論している。

    ほかにも、男女ともに、セックスの最中にすら相手以外を思い浮かべ空想する傾向があると指摘。

    男性の空想が視覚的で明瞭な身体の細部を伴っているのに対し、女性の空想はストーリー展開、感情、人間関係、そして恋愛をより多く伴っている。

     

    彼らは、一般に考えられているのとは逆に、性的空想が発生するのは、単に性的に満たされない願望や性的な行為ができないことが理由ではないと主張している。

    いくつかの研究は、性的空想はマスターベーション、セックスの頻度、一生を通しての性的パートナーの人数、自己評価による性的欲求の程度との正の相関があることを示している。

    つまり性的に満たされている人ほど性的空想の頻度は高いが、性的に満たされていいない人はむしろ性的空想の頻度が低いということである。

     

    以上はインターネット出現以前の研究の話であり、現在においては、インターネットポルノが存在しており、性的空想の必要性はほとんどなくなってしまった。

    心の中でエロティックものをイメージする能力の喪失は、他の領域の創造性への影響も考えられ、ヒトの進化を変えることになるかもしれない。

     

     

    著者は最後のあたりで、インターネットポルノの影響について触れていますが、これは私にも実感があります。

    というのも、20代の人たちが「中折れするんです」といって当店に訪ねてきてくださることが少なくないからです。

    20代は勃って勃って仕方がない年代であるという認識なのですが、今は必ずしもそうではないようにみえます。

     

    私のこどもの頃はまだインターネットは存在しておらずエロヘのアクセスが今よりも極めて高い時代で、オナニーには妄想が必要でした。

    少し経つとAVが出現しましたが、それでもモザイクのコマはかなり大きく、目を細めてモザイクの周囲ごとぼやかしてみて、あとは必死に妄想してヌイていました。

    今の20代はこどもの頃にはすでにインターネットポルノが存在していて、しかも自分が望む「ファンタジー」が各種品揃えされているので、妄想する必要なく育っています。

     

    これはなにも20代の子に限らない話で、かつてはまだまだ勃ちざかりとされていた30代40代のにもあてはまることです。

    モニター越しとはいえ、上玉が自分の望むことを見せてくれるのを見続けていたら、現物を前にしたときに興奮が持続しないのは仕方のないことだと思います。

     

    他に興味深かったのは、著者がヒトはマスターベーションの際必ずエロい想像をするので、なにを想像しているかによってスターベーションしているヒトのセクシュアリティが判定できると主張していことでした。

    それゆえ彼は「オナニーでオルガスムスを得ていながら「無性愛者」と主張する人には懐疑的である」といいます。

    この着眼点は自分のセクシュアリティ判定のリトマス試験紙になりますね。

    自身のセクシュアリティに揺れ動いているみなさん、今日のオナニー時にチェックしてみてください。

     

     

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